Column

2023.03.20

「浮上式」について

振動対策製品を開発しているとよく言われます。
「浮かせては?」と。
確かに浮かせてしまえば振動が遮断できるように思えます。
多くの方が「浮上式」によって振動の伝わりが無くなると思っている方が多いようです。

弊社は部品を加工しています。
お客様への品質保証の為に沢山の測定器があります。
その中に「3次元測定器」というものがあります。
500mm角の測定範囲の測定器サイズで、約20,000,000円位でしょうか。
弊社にとっては高価な測定器です。

それは2トン位ある石定盤(平面精度が、とても高い測定用の台)を、エアーで浮上させ、外部からの振動を抑制しています。

そんな「3次元測定器」を、設置調整している時でした、通常±1/1000mm程度に安定していた測定値が、時々±3/1000mm程度に測定値が大暴れするのです。
調査の末、原因が分かりました。
石定盤をエアー浮上させる為に、隣室に設置したエアーコンプレッサーが原因でした。
エアーコンプレッサーの作動による振動が鉄筋コンクリートの床を伝わって測定値を狂わせていたのです。
エアータンクの圧力が下がった時だけ、エアーコンプレッサーが時折動くため、原因を見つけるのに苦労しました。

低い振動は遮断できても高い周波数帯の振動は、伝わっていたようです。

レコードプレイヤーに置き換えると、ハウリング対策には優秀ですが、再生音に影響を与える周波数帯には効果が薄いようです。

「浮上式」は、振動を遮断できるようなイメージがありますが、空気がある限り完全な遮断は出来ないようです。

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